3-4① 「習い事」から考える教育

  • 2025/11/12
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教育と人材育成

「正解がない時代の親たちへ」(おおたとしまさ)では教育と人材育成について次のように紹介されています。(以下、藤田意訳抜粋)


教育=それぞれの人間の特性を見極め、好ましい環境を与えること

人材育成=何らかの目的に見合う材料として一定のスペックを持つ状態に人間を加工すること


そのため、教育畑の人と経済畑の人では教育論議がかみ合わないとも語っています。しかしいずれの観点でも「子ども(将来)のことを想っている」点において共通しており、混同させないことが”教育”を建設的に考える上で大切です。

 

激化する中学受験

私立・国立中学受験者数は2014年の42,800人から増加を続け、2023年には52,600人となり過去最多を記録しました。近年の不況の影響に加え、コロナなどの社会不安も相まって「子どもにより多くの選択肢を」と望む保護者様の姿勢が反映されているといわれています。また実際、コロナ禍に対応すべく始まったオンライン授業への即座の対応など、公立との差が浮き彫りになったことも私学が人気とされる要因と考えられます。

 

教育虐待

「子どもへの過度な期待と思わしくない結果に対して厳しく叱責してしまう」ことを指します。この教育虐待は先述の(”教育”ではなく)”人材育成”の観点から子どもを捉えると陥りやすく、また教育に熱心な親や指導者ほど”結果として陥ってしまう”(大人も”子どものため”と思っての言動と認識している)可能性が高い点が恐ろしいところです。

2018年には教育虐待を受けていた子が大人になってから親を殺害する事件が発生しました。子どもの頃に負った心の傷がその後、一生に渡って影響を及ぼすことを物語っています。なお本事件は2023年にノンフィクション書籍「母という呪縛 娘という牢獄」(齊藤 彩,講談社)として出版されています。

激化する中学受験という社会的背景だけでなく、スポーツ教育や、発達障害を抱える子育てでも、教育虐待に繋がるシーンが見受けられます。親として、大人として関心を持ちたいテーマです。

 

“触れる大人の母数”を増やす

意図しない教育虐待を避ける意味でも、複数の指導者から教育の機会が設けられることは好ましいです。また前節の通り、将来の夢が”既知の世界と、未来の自分像との接続点”なのだとしたら、この観点からもサンプル例(モデルケース)となる大人に多く触れておくことは好ましいといえます。

ここで強調しておきたい、双方の観点からも当てはまることは”(子どもが触れる大人の)質は関係ない”ということです。確かに幼少期から児童期に触れる大人から受ける影響は大きいため、子どもが接する大人を親がついコントロールしたくなる気持ちも分かります。しかし、子どもの自立を考える時、子どもの時分から”人を観る目”を養っておくことは長期的に見ても利のあることです。また、親好みに選抜された比較的同質の大人ばかりと付き合うことよりも、多様性に富んだ人間関係に身を置いた方が、成長した先でアイデンティティを形成する際にも役に立つことでしょう。やはり”質ではなく、触れる大人の母数”が非常に重要です。

 

子どもを手放す勇気

前述の通り、触れる大人の母数を増やすためには、親族はもちろん、学校や習い事を含む有料・無料のシステムやサービスの活用、地域活動など、可能な限りの場に赴くことが肝要です。

この時、触れた大人に対し、子どもが下す判断を尊重しましょう。周りの大人は、決して余計な口出しはせずに、なんとか堪えましょう。大人ができるサポートとしては、子どもが言語化できずにいる部分の汲み取りなど”混乱原因の整理と共感”程度が限界です。例えば「(習い事の)どんなところが嫌だったの?」、「ボールで遊べなかったのが嫌だったんだね」、「コーチのこんなところが良かったんだね」などが当てはまります。大人が持つ評価軸は明言しないように気をつけましょう。

無論、防犯上の都合から「怪しい大人、知らない大人についていかないように」といった生命にもかかわりかねない指導は必要です。

 

習い事の立ち位置

習い事は、一般的には教育における補助的な役割しか担いません。これは“教育”、”人材育成”いずれの観点からも当てはまります。

子どもにとって、平日は家や学校で過ごす時間が大半です。地域のスポーツチームに所属したり、中学受験塾に通うようになると土日のほとんどがそこに費やされるようになります。しかし、多くの習い事は幅を持たせても、50~80分/回で週1~2日程度のため、習い事が生活の中心にはなりづらいです。そのため習い事への目的も限定的となるでしょう。(後ほど詳述しますが)望まれる目的としては、学力、体力、技術の向上や、他人(指導者・学年差・地域外)とかかわる社会経験などが挙げられます。

 

習い事で得るチカラ

大きく分けて3つのチカラを養うことが期待できます。


専門的なチカラ:ピアノ、サッカー、プログラミングなど

副次的なチカラ:音感、体力、姿勢など

非認知能力:コミュニケーション能力、自己肯定感、ソーシャルスキルなど


例えば「体操教室」で得ようとする専門的なチカラは、体操(マット・跳び箱・鉄棒など)に当てはまるチカラであり、副次的なチカラとは体力や姿勢など、他の種目やシーンでも応用が利くチカラを指します。そして、非認知能力は、並んで順番を待つことや傾聴すること、率先して準備や片付けに取り組む姿などが当てはまります。

 

<次投稿でさらに細分化・詳述します>